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2008年7月19日

四つの嘘:大石静:幻冬舎文庫

結構考えさせられる作品である。4人の女性の高校生から40代までを、時間を前後行き来しながら展開して物語は進行する。人が生まれながらに持っている性質と成長しながら周りの人間関係・経験の中で身につけて人格がある形に形成・収斂されてゆく様が見事に描かれている。人間をパターン化して描かず、1人の人格の中の幼稚さ、大人っぽさ、意地悪さ、優しさ、賢さ、愚かさ等相反する感情、性質が同居しているさまを違和感なく読ませる。元来女性作家の作品は傾向的に細部の記述にこだわるあまり読み進めるのがしんどくなったりする傾向があるのであまり手に取る方では無いが、本書はそのような傾向もなくすんなり物語りの中に入ってゆけた。TVドラマ化されたようであるが見ていない。映像がするのは結構大変な作品かもしれない。

投稿者 芋焼酎

2008年7月14日

あの虹に、ティー・ショット:喜多嶋隆:光文社文庫

この著者の作品を手にするのは久しぶり。先日本屋で別の本を探ししているとき、文庫の平積みの中にある本作が目にとまり、自分がゴルフを趣味の一つにしていることもあり、買い求めた。単純明快青春スポーツ物。テンポよく読ませる文章と、特にゴルフの知識が無くても物語の中に入っていける構成になっているので、ゴルフに興味のない人でも結構おもしろく読めると思う。主人公の女性が貧しい生活環境の中で、ゴルフを通じて世界を広げてゆく課程がよく書けている。結構笑えるシーンありほろりとさせられるシーンありで読後感さわやか。

投稿者 芋焼酎

2008年7月12日

マグマ 真山仁 朝日文庫

途中でだれることなく最後まで一気に読ませる作品である。ハゲタカファンド所属の主人公とそのファンドに買収された地熱発電会社の研究者とを軸に、綿密な調査を元にした日本の電力・原子力政策にまつわる利権構造まで踏み込んでそれをフィクション仕立てにし、興味深く読ませる力は相当のものである。地熱研究者とその妻の夫婦愛、研究仲間との確執・友情など、ほろりとさせられる場面描写も秀逸。お勧めの一冊。

投稿者 芋焼酎 | コメント(113)